
【第60回】大人の隠れ家で季節を感じ取る
2012年7月2日 掲載
非公開: 味楽処 寶千
上質なたたずまいに包まれた味楽処「寶千」は、
まさに大人の隠れ家と表現するのにふさわしい。
ゆるやかな時の流れに身をまかせ、
上質な空間と季節料理をしっとりと味わうのに、
これ以上ぴったりとはまる店は庄内でも数少ない。

◆
庭園の石畳を抜けて店の扉を開けると、
目の前に広がるのはしっくい壁。
壁に設えたニッチには店名を冠した吟醸酒が
ぼんやりと浮かび上がる。
料理を引き立てる重厚な岩手ヒノキのテーブル、
小上がりから臨む季節の彩りにあふれた庭園、
そこにいるだけでもリッチな気分を堪能できる。

◆
女将の繊細な手仕事で、
旬の食材の魅力を余すことなく引き出した
コース料理は3,000円から。
内容は日によって異なる。
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締めには、県産「出羽かおり」にこだわる、
ひきぐるみの十割そば。
香り高いそばに合わせ、返しも自ら仕込む。
飛島産のアゴだしをたっぷりと使い、
甕ツボでの長期熟成を経て生まれる味わいは、
そば専門店もはだしで逃げ出すほど。
旨味がギュッと凝縮されているのにキレがよく、
これ目当てに県外からわざわざ訪れるリピーターも少なくない。
コースに加えることも可能。

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コースの場合は、お腹の膨らみ具合と相談することに
なる(おそらく満腹に近い状態になる)が、
アラカルトの「本鴨燻製」は、合鴨の匂いが苦手な人にこそ、
あえて味わってほしい逸品。
庄内産のマガモ“バルバリー”を、自ら燻製にすることで
余分な油が落ち、程良い野性味を堪能できる。
これまでの鴨肉のイメージがガラリと
変わってしまうほどのインパクトを得られるはずだ。

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プライベートでも時折、お邪魔するこの店。
正直、あまり他人には教えたくないというのが本音である。
非公開: 味楽処 寶千
[住所] 鶴岡市青柳町23-12 [TEL] 0235-25-5021
[営業] 17:30〜23:00 (ラストオーダー22:30)
[定休日] 月曜日、日曜日は予約営業 [駐車場] 5台