上質なたたずまいに包まれた味楽処「寶千」は、
まさに大人の隠れ家と表現するのにふさわしい。
ゆるやかな時の流れに身をまかせ、
上質な空間と季節料理をしっとりと味わうのに、
これ以上ぴったりとはまる店は庄内でも数少ない。

外観

庭園の石畳を抜けて店の扉を開けると、
目の前に広がるのはしっくい壁。
壁に設えたニッチには店名を冠した吟醸酒が
ぼんやりと浮かび上がる。
料理を引き立てる重厚な岩手ヒノキのテーブル、
小上がりから臨む季節の彩りにあふれた庭園、
そこにいるだけでもリッチな気分を堪能できる。

秋田杉のテーブル

女将の繊細な手仕事で、
旬の食材の魅力を余すことなく引き出した
コース料理は3,000円から。
内容は日によって異なる。

締めには、県産「出羽かおり」にこだわる、
ひきぐるみの十割そば。
香り高いそばに合わせ、返しも自ら仕込む。
飛島産のアゴだしをたっぷりと使い、
甕ツボでの長期熟成を経て生まれる味わいは、
そば専門店もはだしで逃げ出すほど。
旨味がギュッと凝縮されているのにキレがよく、
これ目当てに県外からわざわざ訪れるリピーターも少なくない。
コースに加えることも可能。

そば

コースの場合は、お腹の膨らみ具合と相談することに
なる(おそらく満腹に近い状態になる)が、
アラカルトの「本鴨燻製」は、合鴨の匂いが苦手な人にこそ、
あえて味わってほしい逸品。
庄内産のマガモ“バルバリー”を、自ら燻製にすることで
余分な油が落ち、程良い野性味を堪能できる。
これまでの鴨肉のイメージがガラリと
変わってしまうほどのインパクトを得られるはずだ。

本鴨燻製

プライベートでも時折、お邪魔するこの店。
正直、あまり他人には教えたくないというのが本音である。

非公開: 味楽処 寶千

[住所] 鶴岡市青柳町23-12 [TEL] 0235-25-5021

[営業] 17:30〜23:00 (ラストオーダー22:30)

[定休日] 月曜日、日曜日は予約営業 [駐車場] 5台